少し前までやっていたtwitterでシルヴァンバーネットの『美術を書く』東京美術出版、2014年。の自身の気になる章のレジュメを作っていた。また、少し深掘りしたいところは文献を調べて同レジュメに記載した。
『美術を書く』はあからさまに絵や美術・芸術作品を”読むもの”へと変えてしまうような捉え方、つまりパノフスキーのイコノロジー(それ以前の文献学的なイコノグラフィー)を主軸として、モチーフがなんであるか、どんな象徴であるのかを分析の対象として、それをもとにどのように書いていくのかといった本だった。
最近はネット上で”考察”という言葉が溢れていて、伏線がどうだとか画面に出てきた〇〇は△△のオマージュであるとか。「だからなんだ」みたいな記事が多く、どのようなテーマがあり、それはどの場で展開されたもので、それを踏まえてどのように捉え次につながっていくか、みたいなものは少なかったりする(というほど読んでもいないけど)。
『美術を書く』はメディアの違いはあれど、作品をその考察のように読み解いていくことに対しては似たところはあるのかもしれないが、美術・芸術は消費し得ない部分があるかもしれず(という僕の幻想かもしれないが)、そこを掘っていくための第一段階としては必要なんじゃないかと思ったりもする。
絵を取捨して”読むもの”にしてしまうこと。”意味”に変換してしまうことは、ジョルジュ・ディディ・ユベルマン『イメージの前で』で批判されていることでもある。